VOICE vol.05

キリンビール初のサブスクリプションサービス 「ホームタップ」の理念とミッションに共感し コミットしてくれる大切なパートナーです。 キリンビール株式会社様

月に2回、つくりたての生ビールのおいしさをご自宅までお届け。専用のビールサーバーから本格的なビールを注いで味わう極上体験――。キリンビール社が開発した「ホームタップ」は「New Beer Experience」のキャッチフレーズ通り、醸造家だけが知っていたつくりたての生ビールのおいしさを、月額7,500円(税別)で自宅へお届けする全く新しいサブスクリプションサービスだ。工場から月2回届くペットボトルを専用のビールサーバーにセットすれば、だれでも自宅で簡単に生ビールが味わえる「ホームタップ」。2017年6月の発売以来、多くの人が当選を待ち焦がれているが※、その裏側でフォービスのフルフィルメントソリューション「Vegas」とエンジニアたちが、キリンビール社の新たな挑戦を支えている。 ※2019年12月現在

キリンビール株式会社 デジタルマーケティング部主査 兼 マーケティング部 新規事業創造担当 村上 佳夫氏(以下、村上氏)

ブランド理念の共有 3日間の合宿で関係メンバーが膝突合せ
ホームタップというブランドの理念を共有していった。

キリンビール株式会社 デジタルマーケティング部主査 兼 マーケティング部 新規事業創造担当 村上 佳夫氏(以下、村上氏)

―― キリンビール様とフォービスとのお付き合いは2013年、キリングループ初の事業会社横断型ECサイトであるキリンオンラインショップ「DRINX」(ドリンクス)の開発から始まりました。
村上氏「DRINXはキリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンと事業会社を横断したオンラインショップです。当社はメーカーですから、当然社内にはECサイトを扱った経験がある者もシステムの専門家もいません。そんな中、通販専業のシステムベンダーであるフォービスさんには、一から丁寧にご教示いただきまして。弊社のビジネス要件をくみ取りつつ、我々のやりたいことを実現するシステムをフルスクラッチに近い形で作っていただきました」
―― その実績や信頼をベースに、貴社初のサブスクリプション(定期通販)サービスに、フォービスのVegasをご採用いただくことになったのですね。
キリンビール株式会社 マーケティング本部 マーケティング部 新規事業創造担当 寺島 大智氏(以下、寺島氏)

我々が目指したのは、お客様一人一人とキリンビールがつながること。
その想いを叶えるために、システムにはどんな仕組みが必要なのかフォービスに一緒に考えてもらった。

キリンビール株式会社 マーケティング本部 マーケティング部 新規事業創造担当 寺島 大智氏(以下、寺島氏)

寺島氏「うーん。そうなのですが、まず最初に始めたことはそれよりもまず我々がお願いしたのは、システムの機能や要件の検討でなく、お客様に届けたい価値を共有することでした。

社内でホームタップの企画が立ち上がったのは、2013年頃。当時、当社はマイナスが続いて苦戦しており、何か新しいものを生み出さねばという空気が満ちていました。

我々が目指したのは、お客様一人一人とキリンビールがつながること。

至福のビール体験をお客様にキリンビールから直接ご自宅にお届けしたいという“思い”がまずあり、それを叶えるためにシステムにはどんな仕組みが必要か…を一緒に考えてもらいました」
―― ブランドの目指す姿と思いの共有を、まず初めになさったのですね。
株式会社フォービス 取締役 松下 康雄(以下、フォービス松下)

ホームタップを通して、キリンビール様がお客様に提供したい“価値”や、このサービスによってつくり出される未来の姿にフォービス一同深く共感する所からプロジェクトがスタートした。

株式会社フォービス 取締役 松下 康雄(以下、フォービス松下)

フォービス松下「僕たちフォービスも、日本を代表するメーカーがダイレクトマーケティングをすることが新鮮でした。誰もが名前を知っている大企業が、専用ビールサーバーを開発して、会費を取って、月に2回、つくりたての生ビールのおいしさをお客様のご自宅までお届けする。この先進性は、サービスとしても、システム的にもまだ見たことがなく、非常に興味深く感じました。

そして、キリンビール様が提供したい“価値”や、このサービスによってつくり出される未来の姿に、弊社代表の家永が深く共感しました。そこで“ぜひ私たちにやらせてほしい!”と自ら陣頭指揮を執りまして、3日間の合宿を行うことになりました。キリンビールの関係者の皆さまと弊社スタッフで、朝から晩まで3日間、膝を突き合わせて(笑)」
―― 合宿! なんだか、システム開発とはまったく反対のところにある言葉のように感じます。
村上氏「本当に、そうですよね(笑)。私たちも、パートナー企業とここまでしっかり価値観の共有をしながら、ビジネス要件を固めていった経験はありませんでした」
―― 合宿ではどんなことを詰めていったのでしょうか?
寺島氏「生ビールは一度にたくさん送り届けるのではなく、おいしく飲み切れる分だけを届けたいからペースは月2回くらいが理想だということや、もし週末にパーティが入ったら追加でスポット注文もできるようにしたいことなど、我々が叶えたいこと、お客様にお届けしたい“価値”を、一つ一つ具体化していきました。そこで初めて、ではどんなシステムが必要なのか?という部分に落とし込んでもらいました。

システムありき、パッケージありきでなく、思いありき。我々はそこにこだわって作りたかったし、フォービスさんも同じ部分にこだわってくださいました」
村上氏「キリンビールでここまで本格的なECビジネスをやった事例がないため、他と比べることはできないのですが…。いわゆるシステム開発は、規模の大小はさておき、ある程度パッケージができあがっており、ベンダーさんが“これを使って”と提示したものを外部や内部が運用していくやり方が大半でしょう。

フォービスさんは、我々が満足できない部分やより良くしたいという部分をくみ取って、どんどんゼロから開発してくださいます」
―― 実際に、走りながら開発していった部分も多かったと聞きます。
株式会社フォービス ソリューション部 プロジェクトリーダー 飯野 亮太(以下、フォービス飯野)

Vagasらしさを追求するのでなく、むしろそれらを一切捨てて新しいものを指向していく。
キリンビール様の叶えたいことをそのまま吸収して注力すれば、それは今後のVegasにも必ずプラスになると考えてプロジェクトに臨みました。

株式会社フォービス ソリューション部 プロジェクトリーダー 飯野 亮太(以下、フォービス飯野)

フォービス飯野 「そうですね。何しろ初めてのサービスをつくっていくわけですから、実際にシステムをリリースしてみて“あれっ?ここが足りないぞ!”ということはたくさんありました(苦笑)。

進めながら心がけていたことは、我々がVegasというパッケージありきで考えないということです。Vegasの機能ではこうなる、とVagasらしさを追求するのでなく、むしろそれらを一切捨てて新しいものを指向していく。キリンビール様の叶えたいことをそのまま吸収して注力すれば、それは今後のVegasにも必ずプラスになると考えて臨みました」

まとめ

通販専業として長年積み上げたノウハウを結集し、磨き上げてきたVegas。しかし、パッケージにとらわれずにクライアントの要望に一つ一つ寄り添うことで、ニーズをとらえた新たなソリューションが創出されていった。

プロジェクトの課題① 寺島氏

プロジェクトの課題① 想定外の市場のリアクションと、爆発的な流入。
ビジネスを走らせながら、一つ一つ解決していった。

―― 2015年8月から行った一都三県のスモールテストを経て、2017年6月、ついにホームタップというサービスがスタートしました。
寺島氏「スタートしましたね。すると、驚くことに、アクセスが一気に押し寄せ、会員枠に対して150倍近いお申込みがありました」
フォービス松下「まったくの想定外でした。瞬間的にネットワークに不具合がでるほど、短い間に一気に流入がありました」
フォービス飯野「誰もその状況を想定しておらず、我々もシステム的にそこまで耐えられるような代替案を用意していない状況で…。申し込みがうまくできないというクレームにまでつながってしまい、そこからは何をどう改善していくかという対策を長い時間かけて行うことになりました」
寺島氏「せっかく興味を持ってたくさんの方がきてくださったのに、うれしい悲鳴を通り越して、ひたすら申し訳ありませんという状況で…」
―― 会員枠からもれてしまったお客様はどうされたのですか?
村上氏「フォービスさんと相談し、メール会員になっていただくことで急遽対応しました。ご入会いただける準備ができたらご案内します、ということでお待ちいただきましたが、その間、ビールサーバーの改良などもあり、結局は1年半ほどお客様をお待たせすることになってしまいました」
寺島氏「プレ会員という形で2段階に入会を分けるサービスも、フォービスさんとの議論から生まれた方式です。せっかく興味を持ってくださったお客様の心を離さないために、どういう策があるかをいくつもご提案いただいて、この形が生まれました」
フォービス松下「会員登録フローを一緒に議論しましたよね」
村上氏「我々はシステムは門外漢。“お客様をお待たせしたくない”という「こうしたい」の部分をお伝えしたら、直列のものを並列にすることで間口が広げられますよ、とか、いったんここでデータを登録してそこから先は2段階にしましょう、など、我々だけでは考えつかない施策をシステム的な視点からご提示くださいました」
―― 流入数の多さは、どのように解決したのですか?
フォービス飯野「プログラムの改良で対応していきました。すでにサービスは始まっていましたが、リリース時のようなアクセス集中は今後何度となく起こるだろうと容易に予測できましたので。実際、2019年4月に、1年半お待ちいただいたメール会員様へ順次入会のご案内を出したときも、爆発的な流入数となりました」
村上氏「そのときのメール開封率は、驚異的なパーセンテージでした。皆さん、1年半前に登録したサービスをよくぞ覚えていてくださったと驚くばかりで…」
―― それほどに、お客様は長い間ずっと待っていたのですね。
フォービス松下「一つ一つの施策に対するリアクションを見ていると、お客様の熱気を感じますね。例えば、LINE登録者などの反応率もすごくて、我々も驚くばかりです。システム的には十分な環境を整えていますが、それでも、市場の反応はいつも予想を上回ります」
寺島氏「ありがたい限りです。ファンの方も一緒になって、ホームタップというブランドを育ててくださっていることを感じています」
ホームタップについて

まとめ

誰もが想像しえなかったアクティブな市場の反応に、メーカー側・システム側ともに新たな対応策が必要となったサービス開始当初。ファンとのコミュニケーションを醸成していくため、通販専業の知見と技術力を生かして運用と開発を両立していった。

プロジェクトの課題② 村上氏

プロジェクトの課題② 困難を極めた、在庫最大化のロジック構築。
エンジニア達の英知を結集し
「ブランドが目指すこと」を紐解いていった。

―― 開発の経緯で、ほかにも課題となったことはありましたか?
フォービス松下「やや難しい話になるのですが、在庫の引き当ての問題がありました」
―― 在庫の引き当てというと? どんなところが難しかったのでしょう?
フォービス飯野「難しすぎて説明するのも難しいのですが(笑)。要は、工場から届いた出荷期限の短いビールを、倉庫から先入れ先出しで配送をしていくのですが、お客様は月2回の定期購入以外にも、商品をスポット注文されますし、お届け日を自由に変えることもできます。その際、どのようにロットを当てるかによって、場合によっては配送できなくなる在庫もでてしまう。“つくりたて”のおいしさを維持しながら、在庫を最大化させるロジックを組むのが、非常に難しかったのです」
―― 在庫の最大化ですか。例えば、最大化できずに廃棄が増えてしまうと、その分は回りまわってお客様へ価格として跳ね返ってしまうし、持続可能なビジネスにならないという問題がありますね。
寺島氏「そう…ですね。ただ、そういう需要供給の問題だけでもなく…。在庫の最大化問題は、パッと聞くと単純に思えるかもしれないのですが、なんとも一口では言えないのです。僕もうまく説明できません(苦笑)」
―― その複雑怪奇なロジックを、どのように組み立てたのでしょうか。
フォービス松下「社長をはじめ、わが社の優秀どころのエンジニアが土日もいとわず集まって、ああでもない、こうでもない、うまくいったと思ったら、ああダメだ!と(笑)。侃々諤々しながらロジックを組み立てていきました」
フォービス飯野「最後はちょっとしたひらめきで “できたー!”となりました」
寺島氏「いろんなSEさんがあれこと揉んでくださって、我々も何度も提案を受けては差し戻して…。非常に困難を極めました。しかもこの件は、2017年6月にサービスがスタートしたあと、はたと気づいたことなんです。“あれ?ちょっと待てよ?これじゃ在庫を最大化できないぞ?”と」
―― 新規事業ならではのエピソードですね。走りながら気づくことがたくさんある、と。
寺島氏「たくさんありますね。加えて、お客様への感謝の気持ちを込めてクーポンを発行したり、ビールサーバーの備品(炭酸ガスや消耗パーツなど)の配送の仕組みを改良したりと、サービス向上のアイディアは続々と出てきます。それらを、会員を増やしつつ、新しい商品を出しつつ、ビールサーバーを製造・改良しつつ、生産や配送を改善しつつ、パラレルに対策していく必要がありました」
村上氏「この事業は、ローンチしたら終わり、ではありません。むしろローンチしてからがスタートだという意識で我々は取り組んでいますし、フォービスさんにも同じ気持ちで取り組んでいただいていると思っています」

まとめ

難解なロジック構築にも、全社的な体制で取り組んだフォービス。キリンビール様と気持ちを一つに、システム面からサービスの生命線を支えている。

「その先」のビジョン 寺島氏(左)村上氏(右)

「その先」のビジョン 食卓の中心にビールサーバーがある未来へ。
同じ景色を見つめながら、
サービスをともに育てるパートナーとして。

―― お話を聞いていると、ビジネスの仕組みや売り方にまで、外部チームであるフォービスが深く踏み込んでいくという開発スタイルが新鮮でした。キリンビール様には、このような連携の文化がもともとあったのでしょうか。
村上氏「社内事業のすべてを把握しているわけではありませんが、珍しい体制ではないでしょうか。ホームタップ事業は、ビールサーバーをつくるところからお客様へ売るところまで、あらゆるビジネス要素を含んだ事業です。まさにひとつの会社といってもいいこの事業を、たった数名の社員でやっていますので(笑)、外部との連携は欠かせません。フォービスさんをはじめ、外部の関係者は100名を超す規模になっていますが、みんなが一つのチームという意識で、同じ景色を見ながら、このブランドを一緒に育てていただいています」
フォービス松下「フォービスは社内イベントとして毎月1回、ホームタップの試飲会をしています。もう2年ほど続いていますが、プロジェクターにキリンビール様や新商品の情報を映して新しい知識を共有しながら、社員全員がホームタップを楽しんでいます。研究という側面もありますが、それよりもやっぱり、おいしいから、楽しいから続くんです」
―― 泡が細かくて、しかも少量だけ飲んでも翌日にまた同じ味を楽しめるんですよね。
村上氏「お酒はコミュニケーションツールだと私たちは思っていて。それをうまく表現できるツールがホームタップだと思うのです。
当社がダイレクトビジネスをはじめるにあたり、ビールサーバーが食卓の真ん中にあることで新しいコミュニケーションが生まれる、そんな存在にしたいねという話が何度となく出ました。ホームタップが家庭にあることで、新しい夫婦の会話や知人を招いたコミュニケーションが広がっていく。そんな未来を想像しているんです」
寺島氏「消費者調査で、実際に、ホームタップをお使いのご家庭に何軒も伺いました。皆さん、ビールが届く週末はちょっと贅沢なごちそうにして生活にメリハリをつけたり、カレンダーに“ビール”とマルをつけて家族で楽しみにしてくださったり…。オフ会などを開催している方もいらっしゃいました。このブランドの目指すものがしっかりとお客様にも伝わっているんだなと感じます」
村上氏「今後ますます会員が増えていきます。お客様の求めるものも、きっと思いもよらない方向へ広がっていくでしょう。そうした期待に応える柔軟性やスピードを、フォービスさんは持っていると思います。ぜひ長くおつきあいいただき、同じ未来を目指していただければと思います」
フォービス松下「フォービスのビジネスにおいても、ホームタッププロジェクトは特殊な位置づけにあります。利益を追求するのではなく、新しいことにチャレンジさせていただく事業といいますか…。開発効率は決してよいわけではありませんが、我々にしかできない設計や実装を通じて、新しいものをつくるお手伝いをする。それによって、まだ見ぬ未来の通販業界の姿を探っていきたいですね」
フォービス飯野「ホームタップのシステムは、もはやVegasであってVegasではないかもしれません。ですが、この経験をVegasに還元し、Vegasをさらに磨き上げることで、弊社の多くのお客様にお返ししていきたいと思います」
フォービス松下(左)寺島氏(中央左)村上氏(中央右)フォービス飯野(右)

全体まとめ

次世代の食卓のコミュニケーションツールとして、多くのミッションを背負っているホームタップ。その足元を支えるシステムでも、つくり手と担い手の新たな関係性が模索されていた。互いの理念をシェアして学びあう「幸せな開発」の先には、新しい食卓文化の姿と、新しい通販の姿が、見えてくるに違いない。

ホームタップ

VOICE vol.05 キリンビール株式会社 様
〒164-0001
東京都中野区中野4-10-2 中野セントラルパークサウス

■コーポレートサイト
https://www.kirinholdings.co.jp/
■ホームタップ
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